温故知新の中国料理
12月15日(金)午後6時から、京都府調理師会第10回食べ歩き研修会が開催され、京都府調理師会の正会員をはじめとして一般参加者も多く、親睦を深めて楽しいひとときを過ごしました。
京静華菜譜
今回の研修先は東山仁王門東にある中国料理「京、静華」でした。同店はこれまで営業を続けてきた浜松市から移転し、2008年に開店されました。
オーナーシェフの宮本静夫先生は、移転期間中、中国に渡って現地の料理学校で研修されたとの由、これまでの料理に一層の厚みを増して現在に至られています。
お店は白を基調とした明るいしつらいで、展開される料理は京料理的でもあり、フレンチ的でもあり、まさにヒュージョンでした。そこには基本を大切にした美味しさへの飽くなき追求があり、一品一品にシェフの真心を充分に感じる事が出来ました。
以下に会食リポートを記載します。写真と合わせてご覧下さい。
ブリのチャーシュー風
まず始めは「ブリのチャーシュー風」です。紅芯大根の大根餅を添え、華やかな一皿ですが、全く臭みを感じず、絶妙な火通しに言葉を失います。百合根の裏ごしを散らし、向寒の師走をイメージさせる一品となりました。
前菜 パフェ仕立て
次いで提供されたのは「前菜 パフェ仕立」です。主菜はヒラメの造りですが、グラスにクルミを始めとしたナッツ類をちりばめ、更に茗荷、紫蘇、牛蒡やむかご等を盛り込み、ぶぶあられの食感も良く、一口毎に繰り広げられる、予測のつかない美味しさにただただ驚かされます。
イカ団子、銀杏と生雲丹のソース添え
3皿目は、イカ団子、銀杏と生雲丹のソース添えです。イカすり身がふんわり軟らかく、銀杏のソース、生雲丹のソースにも良く合い、食べ飽きない美味しさです。
イカの足(ゲソ)のトウチ炒め
4皿目は先ほど提供されたイカの足(ゲソ)のトウチ炒めです。ゲソとはいえ、とても軟らかく、この時点で初めて中国料理を食べているという実感に浸ります。
フカヒレ入りスッポンの蒸しスープ
5皿目はフカヒレ入りスッポンの蒸しスープです。とにかく熱々で、本当にあっさりとして暖まります。スッポンの縁側のトロトロ感が心地よく、フカヒレと広東パクチョイの美味しさと相まって、心も温まります。
油淋鶏
6皿目は大皿に盛られた油淋鶏です。カラッとした食感ではなく、ふんわりとした状態でとにかく鶏が軟らかく、ふっくらとしています。イタリアンパセリ、レタス、パクチーもたっぷりあり、中国料理の王道を歩む感じで、とても心地よいです。
彩り野菜のあんかけ
7皿目は彩り野菜のあんかけです。蕪、青梗菜、蓮根、ブロッコリ、金時人参、西洋人参、薩摩芋、里芋、じゃが芋がそれぞれ乱切りで1個ずつ、あっさりとしたあんかけで頂きました。ここまでの準備や盛りつけを思うと本当に頭が下がります。
エビチリ ポーチドエッグ カレー饅添え
8皿目はエビチリが運ばれてきます。お皿にはポーチドエッグと加熱された海老が盛りつけられ、サービスが客前で別の器のチリソースをかけ、客席に提供されます。また、別の器にカレー饅が運ばれます。「チリソースをパンにからめてお召し上がりください」との説明に感動の最高潮に達します。
手打ち麺の担々麺 ピクルス添え
9皿目は手打ち麺の担々麺が運ばれます。やや大粒のミンチ肉に噛み応えを楽しみ、麺とスープのからみも良く、同時提供のピクルスとの美味しさで、満腹感が一気にクライマックスに。
杏仁豆腐
北京風きな粉餅 苺の飴がけ 杏仁クッキー
フルーツティー
デザートはデクパージュサービスの2品目、あっさりとした杏仁豆腐をマダムが盛り分けます。シロップはお好みでとのことでした。全員お代わりに飛びつきます。
デザートの2皿目は北京風きな粉餅、苺の飴がけ、杏仁クッキーです。満腹感を大幅に超え、まるで夢心地のようです。
最後にフルーツティーが提供され、2杯も頂きました。
その後、客席に宮本先生が挨拶に出られ、先生の料理説明に深々と聞き入ります。本当に美味しく頂きました。
食べる事は人を良くすると言う字を書きますが、今回の研修会は「人は食べるために生きる」と言う事を感じます。お店のしつらいはもちろんの事、マダムを始めとしたサービススタッフの心地よさ、宮本先生の人柄を思わせる品々に心打たれる一日となりました。
京都府調理師会として今後もより良い研修会となるよう、しっかり努めていきたいと思います。合掌
食べ歩き研修会は次年度も開催予定ですので、ご期待ください。
次回のイベントは、来年2月7日(金)の第32回料理研修会「豆腐の世界」となりますので、ぜひご参加ください。
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