2月18日(水)午後9時から京都府調理師会 第34回料理研修会が開催され、多くの参加者が勉強の場を持ちました。
研修会では京都府調理師会の正会員をはじめとして賛助会員の方々や京都調理師専門学校の学生など、多くの方々が調理技術向上のため参加されました。
今回の講師は京都調理師専門学校のフランス料理講師、坂本三郎先生でした。
坂本先生は本校卒業後、数年に渡る現場経験の後、西洋料理講師として教壇に就かれ、その後、フランス三つ星レストラン、「ラムロワーズ」で研鑽を積まれました。
また、2012年にはフランス共和国農事功労章「シュヴァリエ」、さらに2014年度厚生労働大臣表彰を受賞されています。フランス料理アカデミー会員、日本エスコフィエ協会会員、トック・ブランシュ国際倶楽部会員としてフランス料理の普及にも努めておられます。
講習は「冬野菜を使った和風フレンチ」と題し、3つのメニューを紹介頂きました。
まずは、九条葱と炒った玄米のポタージュです。
まず京都特産の野菜、九条葱を使用したところに興味が沸きます。講習ではネギの葉の部分(緑色)と根に近い部分(白色)を分けて丁寧に炒める、おいしさへの工夫が印象的でした。
その後、煎り玄米をスープに加え、とろみと香ばしさを強調します。
次いで、牛乳を温めてスクロース(ショ糖)を加えることで、クリーミーな泡立てを狙うとの由、スープとして最後まで飽きの来ないおいしさへの工夫を学び、とても勉強になります。
スクロースの作用で泡が消えにくくきめ細かくなり、泡立てをスープに添えることで口当たりの柔らかさを狙うことなど、科学性に基づいた展開がとても面白く、静かに聞き入ります。
また、ペッパーミルで煎り玄米を挽いてスープのトッピングで提供することなど、目から鱗がはらはらと落ちます。
次いでの講習は、牛赤身肉と根菜のロースト 山葵風味のソースです。
まず、牛肉の下ごしらえとして、牛肉を真空パックして60℃で30分間低温加熱します。そのことにより、中心部までしっとりとした加熱が可能になることと、提供時にフライパンで焼き色をつけることで香ばしさが生まれることが理解出来ました。
ソースの説明で坂本先生は国産ワサビ100%の入ったチューブを取り出し、ソースの仕上げに使用します。国産ワサビだけを使用したチューブが市販されていることも驚きでした。
また、根菜のローストでは大原で作っている黄ニンジンや赤ネギなどを紹介頂き、冬野菜をオーブンでローストすることでおいしさが引き立つ技法を展開し、特にコカブ、品種「あやめ雪」のローストについて熱く語られました。 また、ソースを流す際は肉に流すのではなく、肉のすぐ横に流すのが基本技法であることなど、基本説明もあり、とても助かります。
最後は、きな粉風味のバヴァロワ あずきのクリームソース 抹茶のグラス添えです。
まず、洋菓子やデザートの基本となるソース、アングレーズについて説明を聞きます。分離せずにとろみがつく加熱温度について分かりやすい説明を聞き、とても参考になりました。ゼラチンの加える温度、生クリームの泡立てのポイントなど、これなら初めてでも美味しく作れそうですし、和の食材であるきな粉や抹茶を使用することで、和食デザートにも活用出来そうです。
いずれのメニューも「持ち味をどう生かすのか」という、和食のテーマと重複するようですが、おいしさを常に「引き算」で考え、調和の大切さを基本とする日本料理に対し、「足し算」が基本で、存在感を大切にするフランス料理の技法から学ぶことも本当に多く、大変実りある講習会となりました。 京都府調理師会として今後もより良い料理研修会となるよう、しっかり努めていきたいと思います。合掌